塗装してはいけない屋根材とは?「塗装」が無駄になる屋根材の見分け方
築年数が経った家を所有しているあなた、そろそろ屋根の塗り替えを検討しているのではないでしょうか。
「せっかく塗装するなら、長くキレイな状態を保ちたい」「費用も抑えたい」そう思っている方も多いはずです。
しかし、実は屋根材によっては、塗装しても効果がないどころか、かえって劣化を促進してしまう可能性もあるのです。
この記事では、塗装してはいけない屋根材の特徴や見分け方、適切なメンテナンス方法について解説します。
□塗装してはいけない屋根材
1:パミール
ニチハのパミール屋根は、塗装してはいけない屋根材の代表格です。
ミルフィーユのように層状にパリパリと剥がれてくる(層状剥離)という症状が特徴で、8~10年もすると、特に分かりやすく目立つようになります。
塗装しても屋根材自体が剥がれてしまうため、塗る意味が全くありません。
工事費用が無駄になるだけですので、絶対に塗装は避けましょう。
2:レサス
レサスは、松下電工(現パナソニック)の製品です。
強度が低く、屋根点検で上を歩く際にも割れる危険があるほどです。
細かなひび割れや、扇型に大きく割れるような欠損が多く発生します。
塗装しても強度自体は戻せないため、メンテナンスとして塗る意味がありません。
3:シルバス
シルバスも松下電工の製品で、レサスの上位商品として発売されました。
レサスと同様に、ひび割れ、欠損が多く発生してしまいます。
大きなスリットの入ったおしゃれなデザインですが、そのせいで一層割れやすいです。
通常のスレートに必要な「縁切り」や「タスペーサー」の作業でも割れが起きやすいため、やはり塗装はおすすめしません。
4:コロニアルNEO
コロニアルNEOは、クボタ(現ケイミュー)の製品で、現在最も普及している屋根材「カラーベストシリーズ」の商品です。
細かなひび割れや先端の劣化、崩れが起きやすいです。
築10年を超えると、全面的にひび割れが発生してしまいます。
ただし、コロニアルNEOは他の屋根材に比べると不具合の報告が少ないです。
まだ築年数が浅いお家など、状態によっては塗装で持たせられる可能性がありますので、点検してみて業者と相談しましょう。
5:アーバニーグラッサ
アーバニーグラッサは、クボタの製品で、うろこのように入り組んだデザインが特徴です。
その分強度も低く、細かなひび割れや欠損が多く発生します。
部分差し替えや補修がしにくいため、塗装もおすすめしません。
先端部が割れてそのまま滑落してきた、という事例も多く見られます。
6:ザルフグラッサ
ザルフグラッサもクボタの製品です。
コロニアルNEOと似た形状ですが、こちらの方がややスリット幅があります。
ひび割れが多く起こるほか、劣化が進むとパミールのような層状剥離も発生することがあります。
特に両端部分がひび割れ、欠落しやすいです。
7:セキスイかわらU
セキスイかわらUは、積水グループの住宅で長く使われていた屋根材です。
ひび割れの他に、表面塗膜の剥がれが発生するのが特徴です。
塗装前の高圧洗浄のときに表面がさらに剥がれ、素地がむき出しになってしまうため、塗装しても強度が保てません。
□屋根の劣化状態によって塗装はNGになる!
1:ひび割れ・欠損
屋根全体に多数のひび割れがある状態は、かなり屋根が弱っているため、塗装はおすすめしません。
数か所程度なら補修した上から塗装で良かったのですが、見渡して一面に発生しているくらいだと、塗装しても効果が期待できません。
2:塗膜剥離
以前の塗装の品質が悪く、全体的に膨れや剥がれが起こっている場合も、塗装はおすすめしません。
塗装するためには、非常に丁寧に高圧洗浄したり、手作業で削り落としたりして、表面を整えなければなりません。
また、剥がれ箇所からずっと水が染み込み続けていたのなら、表面を整えたところで屋根材が弱っているので、結局塗装はおすすめできません。
3:下地の傷み
築20年以上メンテナンスしていないと、表面の屋根材だけでなく、その下にある下地や防水シートも弱っていきます。
すでに屋根から雨漏りしていた場合は、塗装では対処できないことがほとんどです。
また、トタンなどの薄い屋根材だと、点検で上を歩くだけでフカフカとした感触がして、中の木材が傷んでいるのが分かることがあります。
このような状態は、特に20年以上何もメンテナンスしていないと起こる可能性が高いです。
□まとめ
この記事では、塗装してはいけない屋根材や、塗装しても効果が期待できない屋根の劣化状態について解説しました。
屋根材の種類や劣化状態によっては、塗装が無駄になってしまうことがあります。
大切なのは、定期的な点検と適切なメンテナンスです。
早め早めの点検を心がけ、専門業者に相談することで、安心安全な住まいを実現しましょう。